殺生

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    朝から、何やら小さな音が頻繁に聞こえてきて、何だろう?と思っていた。


    耳をすまして聞いてると、間もなく音の主が分かった。


    これは、ネズミだ。


    ネズミが、チューチュー鳴いている。


    どこかで。


    ネズミが、これだけ鳴いているという事は、おそらくネズミ捕りにかかったんだと。


    声のする方へ向かい、ネズミ捕りが仕掛けてありそうな棚の下を覗くと、そこには確かにネズミ捕りがあり、毛むくじゃらの生き物もかかっていた。


    コイツか。


    さて、困った。


    対処の仕方が分からない。


    親父は、どうしていたっけか?


    この時点で、川に流そうと考えていた。


    だが、まずネズミを取れない。


    少し考えてから、決断。


    行動に移した。


    バケツに水を貯め、ネズミ捕りを沈めた。


    文字にするのは簡単だ。


    たった一行で済んでしまうが、こんなむごい事はない。


    ネズミの顔が浸かりきるだけ水を貯めていたので、体は動いている。


    俺は、それをずっと見届けた。


    それしか出来ない。


    物凄く心苦しく、罪悪感がおさまらない。


    ほどなくして、ネズミの体が動かなくなった。


    さっきまで、チューチューと可愛い声で鳴いていた主は、今まさに俺の手によって息を引き取った。


    殺してしまった。


    普段から、バンバン蚊を叩いたり、アリを潰したりしてるが、こんな気持ちになった事が無い。


    感情移入出来ない虫と違って、小動物だから生まれた感情だろうか。


    脈打つ姿が見られる生き物だったからか。


    そして、その心臓の動きが止まるのをしっかりと見届けたからか。


    あまりにも簡単に溺死する事への恐怖。


    自分のした事への恐怖。


    当分頭から消える事はないと思う。


    10分ぐらいだろうか、水に浸けたままにしておいた。


    ちゃんと死なせてやらないと、これだけむごい事をしておいて、中途半端は許されない。


    そして、しばらく濡らしておかないとネズミ捕りから外してやれないと思ったから。


    時間を置いて、ネズミ捕りからネズミを外す。


    ネバーッとトリモチですか?アレが伸びて、綺麗には外せない。


    これもやっててむごい。


    下手にむしりとって、尻尾や足がちぎれてはいけないと思い、ゆっくり剥がすのだが、顔もべっとりなので…。


    剥がしてから気付いたが、べっとりくっついていた側の顔は目がひん剥かれたカタチになってしまった。


    辛すぎる。


    剥がしたネズミを当初の考え通りに川へ流した。


    流れていくネズミを見届けて、この嫌な仕事は終わり。


    殺してしまった。


    ネズミに罪があったか?


    苦しむネズミを楽にしたと考える?


    色んな思いが、頭を巡る。


    朝からむごい事をした。



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      • 2017.10.01 Sunday
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      • 10:15
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